ちょっと古くなりますが、7月5日東洋経済に、『雨の日に初めて傘を貸す銀行』という特集がありました。(7月30日)

「晴れた日に傘を貸し、雨の日には傘をかさない」というのが、銀行の専売特許であったが、これが、ガラッと変わった。「地域経済を下支えし貢献する」と地銀本来の役割を声高に宣言し、地域企業の緊急融資の要望に着々とスピーディに応える姿は、何とも頼もしい限りです。

そもそも、地域経済の疲弊と低金利により、コロナ以前から地方銀行は、その4割近くが、営業赤字という瀕死の状態にありました。
そこに来て今回のコロナです。
では、何故このような地銀の変容となったのでしょうか?

その理由は大きく2つあるといいます。
まず第一に、今回のコロナにより地域企業に倒産の連鎖が起こった場合、地銀も地域もろとも沈没してしまうため、どうしても地域崩壊を防がなければならなかった。
第二の理由は、金融庁が銀行を支える姿勢を強く打ち出したことです。「今回は、政府・自治体・金融庁が音頭を取る政治案件。仮に不良債権になっても、最終的には面倒を見てくれるはず」。国も6月に企業の資金繰り支援に約12兆円という大規模な補正予算を計上しました。
この結果、日本の中小企業の命綱である、政策金融公庫も緊急融資に対応、3年間無利子、元金返済の猶予据え置き期間は最大5年という大盤振る舞いになっています。
中小企業の倒産防止対策としては、持続化給付金、雇用調整助成金をはじめ、国、地域行政などがまさに様々な「異次元」支援策を打ち出しています。
これにより、おそらく現在の日本の中小企業にあっては、頭の芯がジンジンと割れるような痛みに襲われる耐えられないような資金繰り難にはなっておらず、にっちもさっちもいかないという状況にはないと推察されます。
政策金融公庫の3年間無利子、返済猶予5年という金融機関の措置は、この間に会社の状態を立て直し、正常に戻して欲しいとの思いがこもっています。

そこで提案です。
余裕がある訳ではないが、資金繰り難だけに気をとられる状態よりは少しは考える余地のあるうちに、中小企業は、アフターコロナに備え、体質改善に励んでいただきたい。PROSOCが提唱する『コロナ時代を乗り切る企業パターン』https://prosoc.jp/pattern/)のうち、B: リニューアル追風型、C: 新時代リボーン型、D: 会社システム老朽型に属する企業については、ウィズコロナの乗り切りを図るとともに、アフターコロナに向けて新しいビジネスモデルやビジネスシステムの創造に注力いただきたい。
また、Eの倒産型については、この余裕あるうちに、出来るだけ早く「廃業」することをお勧めします。アフターコロナで全員が本格的に復興でゴーする前に、膿を早く出し、新たな出発の準備をすべき状態です。
またDX景気で沸いているA: パンデミック追風型の企業は、業績順調にあぐらをかくことなく、アフターコロナ時代の本格的DX時代に備えるべきです。

今時代は、全世界が新しい時代に向かって、いっせいに走り始めています。苦しみを乗り越え、あたかも、19世紀のカリフォルニアのゴールドラッシュのように、一体誰が、一攫千金の金脈を掴むか、その競争が始まっているのです。
条件は皆同じです、ウィズコロナの時代を恐る恐る過ごしながら(もちろんこの時代にすでに金脈を掴んでいる人も多くいますが)アフターコロナでいかに成功するかです。
考えてみれば、こんな面白い時代はそうめったに経験出来るものではありません。
ぜひ、この競争を楽しんで過ごそうではありませんか?

ところで話は変わりますが、大企業の決算や決算予測が次々に発表されています。
日産6700億円の赤字、三菱自動車3600億円、マツダ200億円、トヨタ2020年は黒字であったが2021年はかなり怪しい。また日本航空1000億円強、ANA1100億円、JR東日本1/4期で1500億円、三菱UFJ銀行、海外で3600億円損失計上、三菱重工の子会社スペースジェット5300億円、三菱地所1500億円、東芝1200億円、丸紅1900億円、高島屋200億円、イオン500億円、オリエンタルランド(ディズニーランド)250億円等々、ざっとここに上げただけでも約3兆円にもなります。
問題は、この赤字の余波が今後中小企業に大津波のごとく押し寄せることです。従って今は多少気持ちに余裕のある中小企業も今後厳しい怒涛の荒波に晒されることになるでしょう。

日本経済、本当に大丈夫なんでしょうか?

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